SSブログ

ヒラメでの体験ー1 [ヒラメのエドワジエラ症]

ヒラメでの体験―1
愛媛のYさんは、もう何年もヒラメをエドワジエラではほとんど殺していません。  この地区は一般的にはヒラメのエドワジエラはかなり出ていて、他の病気なども合わせ歩留まりは非常に悪いと聞いております。
Yさんは、特別なことがなければ良い年は、おまけ分を殺すくらい、途中までは仕入れ美数より放養尾数が多いというのはよくある事です。

稚魚にたまたま病気が入っていたとか、給水管からスクーチカを吸い込んでしまったとか、新型の病気が入っていて対応が遅れた、とか特別な事があっても80%~90%近くは止めているのではないでしょうか?(詳しいことまではお聞きませんが。)

何もなければ、上記の通りです。

FCRも生育途中にランダムにご本人が計測すると、1、0を切っていることが多いです。

この地区は病気が多く、聞くところによると、年によっては歩留まり50%とか60%とか、耳にすることもあります。それが本当ならば、FCRも相当に悪いはずです。

これだけの差があると、経営内容に違いは計り知れないほどです。
食べさせて太らせた魚が、斃死するとそれは経営に響くはずです。

これだけ聞くと、すごい話のようですが、過去30年データを取ってきて、歩留まりが100%近くて、FCRが1前後などという事は、過去には多々経験してきました。

このころから産地ではエドワジエラが多発し投薬してもなかなか効果が期待できず、大変な状況になりました。、M漁協のMさんからお声掛けいただいて、ヒラメET末の試験を始めたのもその頃だったと思います。


資本のない私が、先の見えないいつまでかかっても成功しないかもしれないテストに、エネルギーや時間、資材を提供し続けるのは、物心共に大変でした。ただ、「皆さんのためになるかもしれない。」というお話を伺い、若さと正義感で突っ込んだのを、いい思い出として覚えています。結局、地方でどんな技術が出来ても、飼料メーカーさんに取り上げていただけたり、餌に取り入れていただけたりすることはほとんどないという事が、何十年もデータを取り続けて、やっとわかりました。


以下愛媛K水産(2002年の陸上ヒラメ養殖)のデータです。


R2年2月23日ヒラメデータK水産2002年スキャン_20200223 (2)_LI.jpg


3年連続でデータとっていただきましたが、すべて同じような結果でした。 もちろん当時は、飼料メーカーさんのEPも内容が良かったし、環境も違うかもしれませんすべて現在と同じではありません。 しかし、生のフィールドデータです。

当時でも、歩留まりが悪くエドワジエラに苦しめられていたオーナーは多々おられました。その後は、外国のヒラメ養殖参入そして輸入などの環境変化も重なり徐々に産地も疲弊し縮小されていきました。

ではなぜ、当時もいまもこれだけ経営内容に差があるのか。 基本的には、良い餌・良い飼養管理・タイムリーな専門機関への対応、の3本柱だと思います。これが一番。 次に考えられるのは、畜産動物や作物を見てきてもいつも思うのですが、受け入れる側の(この場合ヒラメ)の細胞が本来持っている代謝合成能力を発揮できる状態ではないのではないだろうか。という事です。 受け入れる側のヒラメの細胞が、代謝の悪い状態であれば、どんなに良い餌をやってもいくら高い栄養剤や治療を行っても、ねらい通りの結果は期待できません。 結果として、枝葉末節に経費と労力と時間を使い(経営の3大資源)、心身ともに疲れ果てだんだんと疲弊していくのではないでしょうか。 先ずは受け入れる側の、ヒラメを細胞レベルで活性化させ、上記3本柱を適切に行う事によって、Yさんたちは、狙い通りの結果を出しやすい状況を作っておられるように感じます。 オーナーの狙い通りの結果が期待できる、出しやすい魚体を細胞レベルでキープしていくことが大事なのではないかと感じました。


ワクチン開発や、遺伝子操作などこれからどのような流れになって行くのか、専門外の私には想像もつきませんが、生き物を飼うのはいつの時代もそう簡単ではないと思います。



時代はどんどん変化していきます。養殖経営もフレキシブルに変化していかなくては生き残れません。だから経営は苦しいけれど面白いのではないでしょうか。「之を楽しむ者に如かず。」と行きたいものですが。 大変だと思いますが、頑張ってください。 そして、もっともっと良くなってください。


nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。